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水草の管理

1年の流れ

・春

霜が下りなくなり桜の咲くころ、水を触るのも辛くなくなるので、土を干しはじめます。5月のGW前後に植え替えします。5月後半は新芽がとても美しい時期です。梅雨は水やりをサボれますし、水草が雨を弾く姿も美しいです。

・夏

7月後半、梅雨が空けると猛暑が始まります。この時期は水草の成長を見て、追肥や中干しをします。夏は減った水を足すのと、増えすぎた水草の間引きですね。

・秋

お盆以降は水を足す以外に触らないのを原則としてます。種子や殖芽が肥大する時期ですし、この時期に肥料をあげると土が腐りやすいです。私はフィールドに出る事が増えます。やっぱり秋は水草が最高に輝く時期ですからね。とはいえ、植物体を採取しても定着させにくいので、もし採取するなら標本か種子のみです。

・冬

12月に入ると、1年で最も寂しい時期となります。やることがありません。この時期に翌年の土を作っておくと良いのですが、水が冷たいのでやる気がなかなか起こりません。私は屋内の観葉植物を愛でてごまかしています。

冬は水が凍りますが、耐寒性のある水草ならば、特に気にかける必要はありません。凍ることで陶製の容器が割れる可能性があります。

土の乾燥について

水草栽培で使った土は、捨てない前提でお話しします。また、翌年も同じ水草を育てるために使います。水草は種子が長い間眠るので、他の水草を育てるために使ってしまうと、その水草が雑草化するからです。

 

とはいえ、そのままの土を使っても、あまり成長しません。いちど土を乾燥させるのが重要で、とても良い土に生まれ変わります。とはいえ、種子で眠っている場合はまだいいんですが、根茎や殖芽の状態で乾燥さすぎると、翌年に発芽しない可能性もあります。適度な湿り気を持った乾燥です。

置き場所が土ならば、睡蓮鉢を傾けるだけでもある程度乾燥させられますが、乾きすぎる恐れがあります。私は穴あき水切り袋を使っています。以下、手順です。

1,睡蓮鉢の中の水を出す(魚が入っているなら取り出した上で)

2,土を水切り袋に入れる。

3,睡蓮鉢を取り出す

4,睡蓮鉢があった場所に水切り袋を置く

5,睡蓮鉢を逆さまにして、水切り袋の上に置く。

※すでに水草が発芽している場合は、用土だけ取り出して袋に入れて乾燥させ、植物体のみを水が入った睡蓮鉢で土が乾燥するまで放置します。

※小型の種子の植物、水田の植物は完全に乾燥させてしまって構いません。

※極めて丈夫な水草の場合はわざわざ袋に入れなくても、用土ごと睡蓮鉢があった場所に置いて、その上から睡蓮鉢を被せておくだけでOKです。

※連続して作業するなら、コンタミを防ぐために手を洗うことを忘れずに

私が使っている袋は以下です。​

「岩谷マテリアル 水切り袋 穴あきレジ袋タイプ」

こうすることで、直射日光には当たらずに、雨の日でも濡れなくなります。いまのところ、コウホネ類などの気を遣う植物でも枯らしたことがありません。1ヶ月ほど放置しても特に問題はありませんでした。

植え込みについて

植え込みの手順です。

 

1,睡蓮鉢をもとの位置に戻す

2,乾いた用土を睡蓮鉢に入れる

3,練る。(このとき肥料や用土を追加する)

4,用土を叩いて、容器の底に貼り付ける

5,水を注ぐ

植え付けの目安は泥が固くなった段階です。この泥の状態を見て、何を加えるかを決めます。基本的には用土のところでお話した、赤玉土を練った用土です。

土が黒ければ、有機物が多いので、赤玉土を入れ、肥料を控えます。土が赤玉色ならば、有機物が少ないので、腐葉土やピートを入れます。このように、前年の土の状態を見て、加える土を調整しています。

あとは、挽き肉くらいの水分量になるまで混ぜた上で、均一にならして、水を注いて終わりです。

ここで問題になるのは、ボウフラと他の生きものです。まず、乾燥させた土に水を入れると、ボウフラが湧きます。不思議なもので、乾燥させずに放置した容器ではボウフラは湧きません。​

​我が家ではボウフラは熱帯魚用の網の細かい「AQ-17ネット(M)」で掬って駆除します。また、前年に発生したヤゴを入れておきます。メダカでも良いとは思いますが、私はメダカに対して愛着が湧いてしまい、水交換のときなどに流されないように気を遣ったりすると、作業効率が悪くなるので、入れていません。

種の蒔き方

藻類、雑草の除去

藻類の発生

藻類の発生は水質変化のシグナルです。手で取ったり、土壌の乾燥化させて対処します。肥料やピートを加えて水草の成長を促すことでも消えます。

・アオミドロ

アオミドロは糸状でヌルヌルしている特徴があり、他の藻類と比べて太いです。アオミドロは窒素等の肥料分が過多であったり、用土が腐敗しているシグナルになります。

・糸状藻類

​アオミドロ以外の藻類が発生する場合、原因は不明ですが、土壌を乾燥化などで

・雑草の除去

ウキクサ類

オオバナイトタヌキモ

・水田雑草

アゼナ

ミゾハコベ

ミズニラ

ハタベカンガレイ

ミズスギナ

ハリイ

・生体による藻類の除去

​効果はありますが、生体に頼るよりも、状況に合わせた適切な対処に方が早いです。この適切な対処を文面化できるようにしたいと思います。

・タニシによる藻類の駆除

​・エビ類による藻類の駆除

間引きについて

水草は成長が早いので、順調に育てば初夏には鉢いっぱいに広がります。水草によっては成長が悪くなりますので、思いきって間引きます。間引き方は水草の種類によって異なりますが、今ある総量の2/3は間引くようにしています。

水草の捨て方

水草が増えたら、もったいないと思うのは仕方がないと思いますが、思い切って捨てます。そのまま可燃ごみでもいいですし、1日ほど放置して乾燥させた後の方が重量や体積が減るので捨てやすくなります。くれぐれも、増えたからといって野外に放たないようにお願いします。どんな希少種でもどんなに花がキレイでも、外来種となって思わぬ被害が出てしまいます。

水草を売る

増えたら売りたいと思うのも当然だと思います。ヤフオクやメルカリに出品するのも良いでしょう。ただ、個人的には、希少性を謳ったり、産地を明らかにするには控えていただきたく思います。希少だから育てるのではなく、育てたいから育てる人が増えてほしいからです。また、できるだけ近所に生えている水草を愛でてほしいなと思います。近所の水草の現状を知った上で育てるのが楽しいからです。

水やりのしかた

水草の栽培の利点は、夏でも週1回の水やりで済むということです。とはいえ、1容器に対する水の量は少なくありません。できるだけ効率的にあげたいものです。

・塩素

特に気にしません

・温度

水の出始めはホース内の温度が高温になります。

・蛇口

近いにこしたことはありません。

・ホース

当然ながら口径が太いほど早く水やりのスピードは上がります。

収納方法・・・私はロールではなく、掛けるのをお勧めします。

・吹出口

ペットボトルの改良法

ビオの差し水君(給水用アダプター ペットボトル用)

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成長が悪くなったら

肥料が不足している

肥料が多くて土が腐敗している

水質が合っていない

害虫に食われている

藻類が増えている

​光が足りない

水の濁りがとれない

水の濁りは以下の3パターンがあるかと思います。

・泥が舞って、ベージュ色に濁る

原因は定かではありませんが、細かい泥がイトミミズ等の動物の運動によって水中に拡散して沈殿しない状態なのだと考えています。土を触ると、上の方は「とろけるプリン」みたいにフワフワな泥状になっていて、下は砂や石や根が沈殿しています。対策は2通りです。水草を別容器に移し、土壌を乾燥させて練り直すか、表面の泥を洗い流し、練った赤玉土を追加するかです。いずれかの方法で7割方は改善します。3割は同じ状態に戻ってしまいますが。この水の濁り方は、水草の成長とあまり関係がありません。抽水植物や浮葉植物はこの状態をあまり気にしません。水草を種子から育てる場合や、育成難種の沈水植物の維持には重要な観点だと思っています。

・水は透明だが薄く茶色の色がついている

​水草の成長にとっては良い水です。気になるならば水換えして下さい。

・水面に油膜が張る

​肥料が多く、土の中が腐っていることが考えられます。土を触るとボコボコと泡が出てくるならば、間違いありません。水草を別容器に移し、土壌を乾燥させ、その土壌と同じ量の赤玉土を入れて練ったものに植え直します。

・緑色に濁る

​アオコが原因です。我が家ではほとんど出ません。アオコはいろんな微生物の餌なんですが、その微生物を食べるメダカを入れていないからなんですかね。

・ヘドロ化

​睡蓮鉢の中に鉢を入れて栽培する時に、底で落ち葉がヘドロ化ていることがあります。これは速やかに取り除きます。

水温の確認方法

水質の確認方法

ペットボトルのキャップに水を汲んで、目薬容器に入れたBTB溶液を数滴落とします。青色はアルカリ性で黄色は酸性。細かくは色の濃さより変化の速度でだいたい分かります。電子式より圧倒的に早いかと。沈水植物は酸性の方が調子いいけど、日中は水中のCO2を吸ってアルカリ性になりがちです。

水温のチェック

厳密に水温を測る必要はありません。夏に水草が弱る原因は水底の水温です。特にコンクリート面に睡蓮鉢を置いていると水温が上がりすぎます。水面が熱くなってても、弱くはなりません。底の温度が上がっているようならば、睡蓮鉢に光が当たりにくくしたり、それが難しいなら鉢だけでも覆って日陰にしましょう。

ラベル

複数の水草を管理する場合は、ラベルを付けます。特に域外保全を目的とする場合、このラベルが重要なのですが、どのようなラベルが長期維持に向くかはなかなか難しいです。私は白いプラスチック製の園芸用ラベルに2B鉛筆で書いています。それに穴を開けて、ポリカーボネイト製の大型洗濯バサミに取り付け、睡蓮鉢に挟んで使っています。

奇跡の鉢

いろいろな管理方法をご紹介しましたが、10鉢~20鉢に1鉢ほどランダムで「奇跡の鉢」状態になります。肥料も植え替えも必要なく、水を足すだけで最高の状態に育ちます。前年に奇跡状態だと、翌年も奇跡状態になる確率は上がります。でも絶対ではありません。

 冬季の乾燥化により奇跡化する確率が増えましたが、まだ意図して再現することに成功していません。全ての鉢が奇跡化する管理方法を会得するのが、最終目標ですね。

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