屋外での水草の育て方
個別の栽培法
育ち方ごとの栽培方法
水草は育ち方によって栽培方法を分けることができます。
水中と水上
まず、基本的に、水の中よりも外で生活する植物の方が育てやすいです。水草は以下のように水からの距離によって5つに分けられますが、沈水植物よりも抽水植物の方が育てやすいとお考え下さい。
1,沈水植物 ずっと沈んだ状態で育つ植物
2,浮標植物 底に根を張らず、浮かんだ状態で育つ植物
3,浮葉植物 底に根を張って、葉っぱだけ浮かべて育つ植物
4,抽水植物 底に根を張って、葉っぱは気中に出る植物
5,湿性植物 湿った土で育つ植物
1年草と多年草
冬を種子の状態で越す植物を1年草植物、それ以外の茎や芋の状態で越す植物を多年草植物といいます。水草は種子から育てるのが難しいので、1年草の水草は多年草の水草より栽培は難しいです。
1,1年草植物 1年で枯れて、冬は種子で冬を越す植物
2,多年草植物 冬に茎だけが残ったり、殖芽を作って冬を越す植物
流水と止水
水が止まっている池や水田に生える水草の方が、川や用水路に生える水草よりも育てやすいです。そもそも容器栽培自体が止水ですから当然ですよね。水が流れているか止まっているかで何が違うかというと、水の温度だと思って下さい。水が流れている場所の水草を育てる場合、温度を下げてやると育ちます。
水の温度を下げるには、容器を建物の東側に置く、木陰に置く、容器を埋める、深い容器を使う、大きい容器を使うなどが考えられます。私は大きく深い容器を埋めることで、栽培しています。
この方法は、山地の水草や北方系の水草でも応用できます。なお、抽水植物はあまり水温を気にしませんので、沈水植物や浮葉植物の話だと思って下さい。
富栄養と貧栄養
市街地が近い池、平野の池、水田は窒素やリンなどの栄養素が豊富で、肥料をあげると大きく育ちます。
逆に、山地の池や湿地の植物は、栄養素が少ない貧栄養な場所を好みます。このような水草を栽培する場合は肥料が必要ありません。このような場所に生える水草には、水が酸性であることが重要になります。
水をアルカリ性に傾けやすい、石や砂利は用いず、酸性に傾けるためにピートモスを入れると良いでしょう。
なお、抽水植物はあまり水質を気にしませんので、沈水植物や浮葉植物の話だと思って下さい。
難易度一覧
・多年生植物
1,沈水植物 易 沈水ヒルムシロ、セキショウモ
2,浮標植物 難 アカウキクサ、サンショウモ
3,浮葉植物 易 アサザ、ヒツジグサ
4,抽水植物 易 カヤツリグサ科
5,湿性植物 普 モウセンゴケ等
・一年生植物
1,沈水植物 難 ミズオオバコ
2,浮標植物 難 サンショウモ
3,浮葉植物 普 オニバス・ヒシ
4,抽水植物 難 1年草水田雑草全般
5,湿性植物 難 1年草湿性植物全般
グループごとの育て方
●一年生沈水植物
鉢…光の兼ね合いからも「陶鉢寄型」
土埋め
水質…酸性 長繊維ピート投
類例…ミズオオバコ、スブタ類・トリゲモ類・ミゾハコベ・ミズハコベ・イトクズモ
栽培法…冬期乾燥
※車軸藻類はかなり日陰を好みます。単離栽培もされています。
https://mcc.nies.go.jp/Chara2006/chara-pdf.pdf
●一年生抽水植物(水田雑草)
類例…シソクサ属、ホシクサ属、ミズワラビ、ミズアオイ、キクモ、
イボクサ、ミズネコノオ、シソクサ、オオアブノメ、スズメハコベ
発芽の条件を外さなければ、何もしなくても水を貯めておくだけで、ずーっと維持できます。とはいえ、それがなかなか難しいです。
●湿性植物
類例…モウセンゴケ属、湿性蘭、サワギキョウ、オオミズゴケ、
育て方を調べる場合は、「食虫植物 育て方」で検索していただけると、良いかと思います。ここでは3通りの育て方をご紹介します。
・腰水栽培法
底に穴が空いた植木鉢に、赤玉土や鹿沼土で植え、トロ船に腰水をした状態で育てます。
・浮船栽培法
類例…シラタマホシクサ、ミミカキグサ類、
1年草の植物に向きます。
・安西式栽培法
非常に理にかなった栽培法で、うちでも試しています。
https://twitter.com/pastimeanzai/status/1151710488289398785?s=20
●沈水多年生植物
・富栄養
類例…沈水ヒルムシロ属、セキショウモ属、タチモ、ホザキノフサモ、マツモ、カワツルモ
・貧栄養
類例…タヌキモ属、ミズスギナ、フサモ、オグラノフサモ、ミズタガラシ
肥料は与えません。特にピートが効きます。
※タヌキモ属のに関しては瓶に長繊維ピートモスだけを入れた栽培法がお勧めです。また、睡蓮鉢で栽培する場合は、セリ、ドクゼリなどと混植するとセンチュウ害が抑えられて良く育ちます。
●浮標植物
増やすのは簡単で、逆に増えすぎて、いくら間引いてもどんどん増えます。しかし、減るのも早いので、維持しつづけるのは難しいです。冬を越す時、肥料が切れた時など、条件が悪くなると、いつの間にか消えます。
対策としては、いくつかの容器に浮かべて、危険分散しておくのが一番です。
とはいえ、イチョウウキゴケとサンショウモに関しては、冬を越すのも難しく、私はまだ栽培方法を確立できていません。運良く鉢に恵まれると、何もしなくても毎年発芽するようになります。ただ、その再現ができません。
アカウキクサ属、ウキクサ科、イチョウウキゴケ、サンショウモ
●貧栄養浮葉植物
フトヒルムシロ、オヒルムシロ、ヒツジグサ、オグラコウホネ、ジュンサイ
●富栄養浮葉植物
オニバス、ヒシ属、ヒシモドキ属、アサザ属、ヒルムシロ類、トチカガミ
・殖芽に注意
●多年生抽水植物
直立 オモダカ科、アヤメ属、ヨシ、マコモ、ショウブ、ミクリ属、ガマ属、カヤツリグサ科
ハンゲショウ タデ科 タコノアシ、ミソハギ属、ミズオトギリ、シロネ属、セリ科、トラノオ属、
横這い デンジソウ、ヒメホタルイ、マツバイ、チャボイ、ミズユキノシタ、
立這う ウキシバ
固定 ミズニラ、テツホシダ、シバナ、
貧栄養、アヤメ属、ヒメミクり、コウホネ属、ミズオトギリ、ミツガシワ、
稲の実験用栽培法
埋土種子からの発芽方法の論文
鉢の埋め直しの時期